
こないだ「トルネード竜巻」っつうバンドのLIVEを無料で見た。SPEEDSTARのアーティストです。UA、COCCO、くるり、斉藤和義、HIGE・・・良い感じの多いビクターのレーベルですね。
多分売れないんだけど、俺結構好きです。昔はNIRGILISとよく一緒にLIVEしたりしてたね。BAND編成のPOPな歌物ですが、アレンジや作曲スキルは高い。一見分かりませんが、コード進行とか凝ってると思うな。「売れなくて良いから良い音楽を作ってくれ」ってスタンスのメジャーのアーティストもいるんです。誰もが憧れるポジションでしょう。レコード会社の人だって普通の人間であり好みがある。きっと玄人に気に入られている音楽なんだと思う。
普通のOLみたいな女性ボーカリストが、人生と恋愛に絶望してる感じで、かなり暗い歌詞を歌っています。しかし、明らかに暗いって印象を前面に出していないけど、明るいラブソングは皆無です。ノレそうな曲とかもあるんだけどね。
しかし私は、彼女のステージに、自分なりのEMOを感じました。
30分のステージで、メジャーデビューしてるバンドの紅一点ボーカリストが、7割以上は下を向いて歌っていました。Aメロもサビもうつむいて歌っていました。前を向いて何かを伝えようとするでもなく、客席を睨みつける様子もなく、客を盛り上げようなんて様子もなく、腕を上げることなく、何かを伝えようと必死になっている様子はありません。
ちょっと大袈裟に書いていますが、とにかく歌っている時のほとんどが、うつむいていたんです。しかしそれは明らかに、恥ずかしいとか、暗い人間とか、そういう感じでは、全くありません。会社に居たら凄く仕事が出来そうな綺麗な女性な感じです(笑)。
それを見て、俺は「この人かっこいい、新しい、こりゃEMOだぜ」と思いました。
え?それの何がEMOかって?そもそもEMOってなに?って感じですね(笑)
EMOが何なのか、それは僕にもわかりません。それは何がROCKで何がROCKじゃないのか、何がPUNKで何がPUNKじゃないのかと一緒です。ROCKの定義がなっからこそ、ROCKはなんだって出来る。きっとEMOにも定義なんかなくて、これからもEMOは一人歩きして行くんでしょう。それを出来るだけ前向きに捕らえようと思っています。しかし、そういう新しいジャンルの名前が生まれて、かつ浸透しているってこと自体凄いことだとは思いませんか?
僕が友人に聞いた話で、僕の解釈ですが、話は「MINOR THREAT」まで遡ります。当時HARDCOREやPUNK達は、戦争の事や政治の事を歌うボーカリストが多かったそうですね。今みたいに平和だったら、そんなこともなかったんでしょうね。なので、逆にもう今の時代にはHARDCOREなんて存在しないって解釈も可能かもしれません。僕はそうとは言い切れないと思っていますが。
そんな中で、MINOR THREATのボーカルであるイアンマッケイは、恥ずかしげもなく自分の事を叫び歌ったらしいのです。それは自然に内向的な歌詞になることでしょう。そうすると、外向的な歌詞に合う音楽と、内向的な歌詞に合う音楽は、きっと違ってくるんでしょう。少しづつ切ないコードやメロディの響きになったり、曲のスピードが遅くなっていたりするんでしょう。FUGAZIに流れ込み、今のEMOの原型はFUGAZIと言われるようになったのも分かる気がします・・・。
トルネード竜巻のボーカルは、自分の事をただただ歌っていました。まるで懺悔のように、多くの人の前でうつむいて、自分がいかに自分と今向き合うことが出来るかを見せる真剣なステージだ。自分と向き合うために下を向くことが必要なら、目を閉じることが必要なら、いくらだってそうするに違いない。決して派手さはないが、僕にはしっかり伝わってきました。むしろ影響されています。
とにかくそれが凄く凄く良かった。
最後にMINOR THREATの曲で、僕の好きな歌詞をちょっと書いてみます。
DVDである「AMERICAN HARDCORE」から引用しています。
STRAIGHT EDGE
ドラッグを吸うより気持ち良いことがある
ヤクを笑い飛ばせ、いつでも相談に乗る
松葉杖で歩きたいのか?
俺はSTRAIGHT EDGE
俺はシラフ
絶対にキメねぇ
同じ過ちを犯さない
俺だけでもやらない全然俺だけにならなかった「俺だけでもやらない」が素敵ですね。STRAIGHT EDGEとは、PUNKやHARDCOREやってるからって、ドラッグやったり女癖が悪かったり酒に溺れたりしてるわけじゃないんだ!ってことを叫んだムーブメントらしいです。当時その人たちは腕や手に「×」を書いていたらしいです。僕がEMOを好きになるのは、きっと自然なことだ。
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